演題:小児心臓病の診療と治療について~子供の心疾患に使う薬を含めて~
演者:大阪急性期・総合医療センター 小児科・新生児科 小垣滋豊 先生
阿倍野区学術研究会に座長として参加しました。
小児心疾患のスクリーニングに役立つ情報を具体例を挙げながらわかりやすくご講演いただきました。
開業医が小児心臓病の診察を行う際にどういった点に注意すればよいのか?
いわゆる先天性心疾患は胎児診断でスクリーニングされている可能性が高く、開業医が診察するころにはすでに診断・管理されてる可能性が高い。出生後の成長過程に顕在化してくる心疾患として各種の心筋症、QT延長症候群、多発性のVPCの中でも左室起源のものなど念頭に置くとよい。これらの疾患に対してKEYになる問診事項、画像・生理学検査ではどういった点が鑑別に重要かもご解説いただきました。
また最近は手足口病が流行しているが、こういったウイルスが心筋炎を引き起こすことがある。
心筋炎は進行が速いものも多く、成人の心不全とは違い、多彩な症状を呈することがあるため注意が必要。小児では心不全により、全身臓器が虚血状態・うっ血状態になるため、発熱、嘔吐・下痢、食欲不振等の非特異的な感冒症状、消化器症状から発症することもある。そのため、鑑別疾患として心筋炎が念頭にないと早期診断は困難。病態を理解して全身のsickな雰囲気を感じ取ることが重要。
先天性心疾患の中でも姑息的な手術を受けている場合にはその血行動態を理解したうえで適切な管理が必要。
ただすべての小児心疾患について、「意識消失発作を起こした際、いかに素早く心肺蘇生を行うことができるか」が予後を左右する因子であることを繰り返し強調されていました。また、メンタルケアの重要性など、幅広く現代の小児心疾患医療についてご解説いただき、勉強になりました。